TEAPOT TWINKLE DRESS

 マダマダの世界の星座のはなし。
”madder madder sign of the zodiac ”

ここに一枚の地図がある。

先祖の努力の結晶の建造物や、

大きな大きな木(もちろん実もなっている)、

永遠に続くかのように透きとおったみずうみ。

通常、地図上に描かれるはずのそれらは、ここにはいない。

宝物のありかも載っていない。

地上ではなく、天空を描いた地図。

美しいが、どこか少し滑稽で、自由な発想あふれる地図。

そこに描かれたキラキラと輝くものたちを、

星や月と呼ぶ人もいるかもしれない。

ぬいぐるみだという人もいるかもしれないし、

ティーポットだという人もいるだろう。

(あるいは、もしかすると本当は宝物のありかなのかもしれない。)

そう、全ては自由な、あなたの発想しだいだ。

この地図は今夜もわたしたちに空を見上げさせ、

今自分のみているこの大きな空は、

もしかするとこの地図に載っているかもしれない、

あるいは、きっとどこかで繋がっている、と思わせてくれる。

これはその地図に書き込まれていた、

ちょっとしたメモのおはなし。

興奮したのか筆圧が強くなりすぎていたり

はやる気持ちを抑えきれなかったのか誤字が多かったり

少し古くて、ところどころ読みにくかったりしたけれど・・

歯を食いしばって下ばかり向いてしまうわたしたちに必要な気がして

ここに記録を残します。

マダマダ12星座

星のように

視界に入るだけでも瞳の奥がキラキラと輝く

マダマダ・サイン・オブ・ザ・ゾディアック

ティーポット座 (11/22 - 12/21生まれの星座)

むかーし、むかし。

お茶を入れるのが得意なマダム・スプーンがいた。

マダム・スプーンは、自宅で小さなお茶教室を営んでいる。

生徒もたくさんいたが、ある日暴れん坊の生徒にポットを壊されてしまう。

みんなが悲しんだがマダム・スプーンは悲しまない。

お茶は人を悲しませるためにあるのではない。

笑顔にするためにあるのだ。

暴れん坊は心を入れ替え、そしてのちに、大変な働き者になった。

マダム・スプーンと元暴れん坊に敬意を込めて、

神は空にティーポットを飾ってあげることにした。

この世界だと「いて座」に値する星座、「ティーポット座」。

だんしゃり座、ポニーテール座、ときて・・その規則性の無さに頭を悩ませていた皆さま、お待たせしました。
お茶会が大好きなマダマダらしい「ティーポット」の登場です。
そしてそして、さらに、久しぶりのドレス！
ドレスをお待ちの皆さまも、大変お待たせしました。
今回は、特別！なドレス。
しかも・・ベスト付き！です。

キラキラとひかる天の川のような生地を見た瞬間、「これはこのティーポット座のためにある！」とフルフルとふるえました。キラキラ、フルフル。
というのも、いて座(a.k.aティーポット座)の近くには天の川(a.k.a ティーポット座から注がれたブラック・ティー)が流れているので、ぴったりとしか思えなかったのです。

マグカップにティーバッグをじゃぶじゃぶ、と無心で沈めていただく大味なお茶がとんでもなくおいしい時もあります。楽しみにしていた新刊の漫画にちょっとジャンクなおやつ、ワルそうな英字の書かれたスウェットにはそういうお茶の時間が似合いますから。
でも、じゃぶじゃぶ、としずめていると天の川は見れません。
ティーポットにきちんとスプーンでお茶っ葉をいれて、かたく縮こまっていた葉っぱがお湯を吸い込みふんわりやわやわ、と伸び伸びと広がって、呼吸するたびにいい香りが鼻先から全身に伝わって、いまだ！というタイミングでティーカップから華奢なカップ(ソーサー付き)に注ぐお茶には!天の川が現れますよね！
元は透明なお水だったのに、光をたくさんまとって、キラキラと出てきます。天の川(お茶)が。
見たことがないという方はいまいちど、じっくり、ティーポットから注がれるお茶を観察してみてください。朝でも昼でも夜でも、肉眼で確かめることができます。

長くなってしまったので服の話に戻します。

マダマダはお茶会をテーマにしたお洋服をたくさん、いままでつくってきましたが、ある意味でその「お茶会」の集大成のようなドレスができました。
お茶会はもちろん、さまざまなお呼ばれのシーンでも着ていただけます。
天の川のようなシアーのオーガンジー生地をたっぷりと使用し、ブラウンで透け感があるためベースの裏地にブラックの生地を入れて透けるのを防止するとともに、生地にさらに奥行きをつくりました。

ホワイトやベージュなど、ブラウンのベースにいれて素敵な色はたくさんあったのですが、「ブラック」にすることでさらにシックで上品な印象になり、なにより夜空を容易に連想させられます。

お袖の部分のみ、ベースの裏地はなく生地そのままのシアー感をお楽しみいただけます。
後ろの首の部分に小さな2つのボタン。続くファスナーで着脱しますが、ウエスト部分にはゴムが入っているため楽に着ることができます。
首元と袖先についた、こちらもブラック・ティー(天の川)のなみなみをイメージしたオーガンジーのリボンをはさんで、ロマンティックに。
いつもはやわらかいペールトーンのネイルカラーを好む方でも、ボルドーや深いグリーン、はたまたブラックなど、ダークカラーを縫ってしまいたくなるような袖先です。
(反対に、たまご色や若草色などやさしい色もちろんかわいいですが！)
パフっとした肩にすっきりとした肘下のバランスが美しいスリーブにぴったりの、フロントのタックもいい味を出しています。

そして忘れてはいけない！ベスト付き。
集大成ですから、ティーポットにはティーコゼーが必要なこと、皆さんはもうご存知のはず。
クラシックアイテム愛好家(あるいはファンタジー世界愛好家)な私たちのココロをくすぐるこのショート丈のベストは、ティーコゼーです。

マダム・スプーンは言いました。
“お茶は人を悲しませるためにあるのではない。 笑顔にするためにあるのだ”と。

なんだか上手くいかないことばかりでため息ばかりついていた1日、ティーコゼーでここちよい温かさに守られたティーポットから注がれた、一杯のお茶。
ティーカップを手に取り(今日1番丁寧な手つきで)、口に含む前に目を閉じて(自然に、無意識に)、まずは鼻から、お茶を楽しむ。香りをぜんぶ、吸い込む！次に口を開く。下がりっぱなしだった口角が、上がっている。(上がりすぎはしない、時には笑む、より微笑む、の方が大切だったりすることもある)お茶が口の中にひろがる。あたたかい。首を通って、私のお腹の中で湖になっていくのを想像する。あたたかい湖。いい香りのする湖。香りを逃さないように、さっきから息を吸ってばかりだ。あ、息が出そう、
「ふう」っと口から出た息は、見えないはずなのに柔らかくて、優しい色をしていて、私の口は微笑み続けている。
ため息以外の息を出し忘れていたけど、良かった。今夜も良い夢を見れそうだ。

笑顔にするためのお茶にぴったりな、ドレスをどうぞ。